コドモとココロ:子育てを科学して楽しむ!育児・知育・学力アップの論理的なアイデア

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■子育てと家族の将来 非認知能力

母親の学歴がコドモの生涯賃金に影響する?

2016/08/06

ジェームズヘックマンの非認知能力に関する長期的な調査結果から『5歳(未就業時)までの教育がコドモの生涯へ影響を与える』という有力な分析結果が出たことを以前お伝えしました。

そして今回は、ヘックマンの分析結果を踏まえた上で調査した日本の分析レポートを紹介。

またこのレポートでは『母親の学歴が調査時の雇用形態や賃金に影響を与えている』との結論を出してます。

そのため今回はこの分析レポートを私なりに深読みしていこうと思い、また様々な事実推測の先で父親が何をすれば良いのかについても考えます。


■元ネタ紹介。

今回紹介するレポートは独立行政法人経済産業研究所(RIETI)『幼児期の家庭環境、非認知能力が学歴、雇用形態、賃金に与える影響』というもので、20歳~69歳の6128名に『多様化する正規・非正規労働者えの就業行動と意識に関する調査』というWebアンケートを平成25年1月に実施。

詳細はレポートをご確認いただきたいが、このアンケートでは回答者の比率を総務省の『労働力調査』の正規労働者・非正規労働者・失業者・非労働力人口の構成比に準拠させ、〝評価基準〟となる15歳時点での成績良し悪しや大卒の有無、初職が正社員だったのかや現在の正社員有無、現在の賃金の良し悪しの回答を集めました。

また評価基準との家庭環境との相関関係を調べるため、両親の大卒有無や共働き有無や、アンケート回答者のコドモ時代の環境などを調査して、どのアンケート項目が学生時代の学力や就職後の賃金へ影響を分析しました。


■アンケート結果を分析してわかったこと

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※以下は『幼児期の家庭環境、非認知能力が学歴、雇用形態、賃金に与える影響』の一部を抜粋し、なおかつ理解しやすいように要約や追記などをしました。

1.今回の調査分析結果でも、非認知能力が労働市場における成果(賃金)へ影響していることが判明。ヘックマンらが主張しているように、幼少期の家庭環境で十分な教育機会を与える(A)ことで成果を高める効果が得られる可能性が高い。

2.母親が大卒であること(B)家に蔵書が多い(C)という幼年期の知的な家庭環境が好奇心などの開放性を高める(D)

働きがあり、将来の労働市場における成功(賃金)と結びついている可能性も考えられる。

3.認知能力と並んで高校時の遅刻状況などで表わされる非認知能力の勤勉性(E)は学歴や就業人生に大きな影響を与える。

4.15歳の時点でひきこもり系ではなく、運動系クラブや生徒会に所属する経験もプラス評価へ影響する。したがって、こうした活動を通じて非認知能力の外向性、協調性やリーダーシップを高めていく取り組みも必要である。

この分析レポートでは、世代別の差だったり、祖父母との同居有無だったり、兄弟の有無など本格的に調査するための情報が不十分であることや、あくまでも本人のアンケート回答に基づいた主観的な情報であるため100%信用して良いとは思ってません。

しかし、傾向として捉えることや自身の身に置き換えて今後の育児方針に対する方向性を見出すアイデアとして活用できるものであると私は思いました。


■この結果をもう少し深読みする。

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より深く考察するため、まず分析結果から気になるキーワードをチョイスしました。

(A)幼少期の家庭環境で十分な教育機会を与える

(B)母親が大卒であること

(C)家に蔵書が多い

(D)幼年期の知的な家庭環境が好奇心などの開放性を高める

(E)高校時の遅刻状況などで表わされる非認知能力の勤勉性

先ず、(A)(D)共通することとして幼児期の家庭環境が重要だとあらためてわかる。

(C)は新聞含め親が勤勉な姿をコドモに見せていることでコドモも親を見習うということでしょうか。

まぁ当たり前ですね、『勉強しろ!』と勉強してない人から言われてもピンとこないモノですからね。

そして一番注目なのは(B)でしょう。

レポートを細かく見ると父親の学歴がコドモに影響するのは大卒までで、社会人で正社員になることと現在良い給料には影響していないようで、また親が共働きでも影響していない。

そもそも学歴は『良い人生を勝ち取るためのツール(武器)でしかない。』と私は思ってるし、社会に出たら色々な不確定要素が公私ともに発生するので自分だけの力で人生を決めることは難しい。

このように考えると幼児期の非認知能力強化は〝社会を生き抜く力〟を養うために重要だということが明確であるが、なぜ母親が大卒だと更に良いという事象が出るのか???

ここからは私の推測です。

先ずコドモとの接触時間や相談に乗る機会が多いのは母親です。

またコドモの決断を後押しするのも母親のケースが多いと考えられ、この際に母親の学習経験が役立つのではと考えます。

また勉強の習慣やしつけ教育をするのも主に母親です。

そして〝育児のやり方〟の多くは自分が幼少期に親から受けたことを無意識に真似しているといわれており、母親の母親がしっかり育て上げた実績が身体に染み付いて自分の育児に影響を与えているからだということです。

この話、育児相談所に行った母親の多くがまず「自分のコドモの頃の思い出」を聞かれていることからも解るように、育児に関しても幼少期の学習や経験が生涯学習や指導に影響を与えると考えても良いかと思ってます。

以上のことから『社会で生き抜く力や非認知能力を効率良く鍛えられるのは母親』だと推測でき、その定量的データとして今回の母親大卒優位説につながったと私は思います。


■父親は何をすべきか?

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母親がコドモの学習能力や生涯賃金に影響を与えることがわかりました。

では、このようなデータ分析結果を踏まえ父親は何をすべきでしょうか?

答えは至ってシンプル「母親のパフォーマンスを高める」の一点じゃないでしょうか?

家事や育児を手伝うではありません。

また優位順位も〝コドモのため〟とか〝自分が出きること〟ということではありません。

メインは必ず母親のパフォーマンスですので、父親はまず母親のパフォーマンスが落ちていることや母親がやりたくてもできないことを把握しなければなりません。

またこの父親の活動はトレードオフ(一方を得れば、他方を失うもの)であり、必ず父親のリソース(労力資源)が必要で、父親が見返りを求めると母親のリソース(労力資源)が失われるので全く意味がなく、ただお互い疲れるだけです。

そのため父親は、コドモの学習能力向上やゆとりある将来のため、給料という収入の他にもリソース(労力資源)を投入して生活を支える義務があります。


■我が家のリソース投入状況

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我が家(私)の場合、主に週末に母親のパフォーマンスを高めるための支援を心掛けており、活動は〝コドモと遊ぶ〟ではなく〝家に居ない〟という状況を心掛けてます。

そのため早いときは8時台から外へ出て夕方5時を目処に帰ってくる。

このような活動はお出かけ情報としてこのブログでも紹介してますが、コドモが飽きないようにたくさんのスポットを用意したり、雨の日でも遊べるところやランチを食べる場所を決めておくなど毎週結構大変だったりします。

またこの活動、正直お金がかかりますが母親のパフォーマンス価値と比べれば確実に安いモノで、お金では買えない価値がたくさん有りますから、お父さんの努力で何とかすれば良いだけです。


■最後に

今回の内容、ちょっと重た過ぎましたね。

しかし先生多くの家庭は父親の意識や行動が変わるだけで未来は大きく変わりますので、対応を先延ばしせず、損失回避と危機意識を持って母親を支えてほしいです。

私ももっと頑張ります。

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