損得勘定の再認識~行動経済学のお話~
「勘定は感情で動く」とよく言われてますが、人の行動は目の前の欲求や前後の体験で大きく変わります。
また感情の勘定というものは事実とは異なる点が多々多く、冷静に考えれば判断できるとこともついつい誤った判断に引っ張られがちです。
このような勘定=お金と、感情=心理について研究してい学問は【行動経済学】であり、認知科学の分野において非常に強力で使えるエビテンスです。
そのため今回は、この行動経済学について、日頃〝誤った判断〟をしてしまいがちな例を使いご説明するとともに、子育てでの応用についても触れていこうと思います。
■どちらがお得?
まずはこの図をご確認ください。
この図では自分の所持金についての説明で、①は1000円について「1000円の得をしていない」という説明の仕方を描き、②は1000円について「1000円の損をしていない」という説明の仕方を描いたものです。
そして①②どちらも結果、所持金への影響はなく、経済的な視点では同じ価値ですが、心理的な価値は大分違いますよね。
皆さん、どちらの方が嫌な説明でしょうか?
■必ず2つ以上の言い回しがある!
この心理的なカラクリ、ざっくり言うと少なからず以下3つの効果(エフェクト)が心の価値を揺さぶってます。
【1】プライミング効果:ヒトは最初に知った情報が後に知る情報に影響を与える。
【2】アンカリング効果:ヒトは先に知った情報を基準に後から得た情報の価値を判断する。
【3】損失回避バイアス:利得の喜びと、損失の悲しみを比べると、後者のほうが大きく感じる(影響力が強い)
まずこのようなエフェクトがあることを十分に理解した上で、毎度自分の発想や相手への配慮、説得というケースで伝え方・伝わり方をデザインする事ができるようになるでしょう。
また子育てやセールス、広告コピーなどにおいては、①②の伝え方の方が相手に影響力があるか、意図した目的行動を引き出せるかをテストしながらより良いでしょう。
例えば子育てシーンだとこんなの感じですかね?
①「走ると格好良くないよ」
②「歩くと転ばないよ」
これは〝移動距離〟という、どちらも同じく得られる価値に対して得られなくなる【格好良さ】と損をしなくなる【転ぶ】というものを引き合いに出しです。
また子供にとって【格好良さ】が失う方がインパクトがあり行動変容しやすくなるということ。
イメージ付きますかね?
■シンプルに考える
今までの内容、知識として理解できなくても、理論や対比を難しく考えず、相手をうまく動かしたい/しつけをしたい、「相手が一番失いたくない良いものを考えて、それが無くなる危機感を抱かせる」というシンプルなテクニックのみ覚えておけば大丈夫です。
毎回①②の2つを考えることもないですからね。
また学習や運動といった強化すべき目標に対しては【自尊心】や【他人の目】を意識させると良いでしょう。
大人も同じく、禁煙を促したいなら、寿命が縮まるという説得より、子供と過ごせる時間が減るとか、ヤニ臭くて人か近づかないとか、所謂【ベネフィット】に焦点を当てれば心を動かすことにつながるでしょう。そのこと
ヒトはけっこう単純なので(笑)