人生で一番必要なチカラは〝記憶力〟|知育に必要な5つの価値【子育て科学】
2016/07/26
人が生きるには、何をするにも〝情報〟が必要となります。
その情報を出し入れするのが〝記憶力〟となり、このチカラの有無が人生を左右すると言っても良いぐらい重要です。
今回は〝知育に必要な5つの価値〟の4つ目【記憶力】について見直し、どのように知育や幼児教育において鍛えるかをお伝えします。
■記憶力がなければ成長できない
記憶力が重要性なのは周知の事実です。
なぜなら端的にいうと〝何事も覚えないとできない〟からです。
また記憶とは大きく捉えて〝学習〟することです。
そして、学習を要素分解すると「話す」「読む」「書く」「聞く」「計算する」「推論する」といった能力を指し、この能力が学習効果を高める=記憶力と結びついていると考えて良いでしょう。
またこれらの能力のうち特定の目的を持った学習や使用において著しく問題が生じることを学習障害(LD)と科学的に定義してます。
今回、学習障害については詳しくは触れませんが、気になる方はここを参考にしてみて下さい。
そして、なぜ私が学習障害のネタに触れたかという理由は以下の2つです。
① 学習障害の有無判断では、〝学習〟というモノの基準を定義し、また年齢ごとに水準(必要な能力)にそった達成具合を判断をしている。よって、その定義と水準を知れば我が子の優劣が判断できる。
② 学習障害のカウンセリングでは〝学習能力には種類と順序がある〟という考えのもと、一つ一つの種類と順序(効率の良さ)を水準に合わせて改善を進める。つまり、学習障害のカウンセリング手法を理解できれば〝苦手〟の克服から〝良い点〟を伸ばすことができるようになる。
現在、学習能力は科学的に解明されていて、また鍛えれば強化できるし、障害も乗り越えられる。
そもそも、学習能力の優劣なんて障害じゃない。人間には色々な能力があり優劣を補いながら社会で生活している。
なので、学習能力の使い方を〝理解〟するば学習成果は高まるし、自分のウィークポイントも補えるということです。
話が大きく展開してしまいましたが、ちゃんと〝理解〟すれば学習能力と合わせて記憶力を鍛えられるということになります。
■学習能力の要素分解
もう少し学習能力の〝種類〟と〝順序〟を整理します。
先ず全体を把握するため以下をご確認下さい。
・インプット(情報取得)=➡「見る」➡「触る」➡「聞く」➡「読む」
・プロセス(情報処理)=「思い出す」➡「比較する」➡「計算する」「推論する」
・アウトプット(情報発信)=「体現する」➡「話す」➡「書く」
まず情報の流れは、インプット➡プロセス➡アウトプットという3つ段階に分けられます。
また各段階において、➡の先へ行くほど高度な技術となり、年齢が高まるにつれ技術力と効率が上がります。
例えばインプットの場合「見る」「触る」は赤ちゃんからできるが「聞く」「読む」はある程度知識がないとできないということです。
そして、第2段階の【プロセス】が脳内に記憶をするための作業工程です。
ここがうまくいかないとインプットしたものを〝保持〟できませんし、アウトプットのための〝再生〟もうまくいかなくなります。
またよくある〝ど忘れ〟とは、この段階の処理に問題が発生している状態で、本当に忘れているのではなく〝思い出せない〟ということと考えられるでしょう。
なのでこの【プロセス】を鍛えることが先ず記憶力を鍛えるのに必要だと考えられます。
■ワーキングメモリーは幼児期に決まる?
記憶に重要なプロセスはワーキングメモリーと呼ばれる脳の前頭葉海馬という、部位でいうとおでこのへんで実施されます。
そして沢山の知育本やネットで「幼児教育では前頭葉海馬を鍛えるべし!」といたるところに書いてあるのはご存知かも知れません。
しかし、幼児期のストレスが前頭葉海馬の発育を妨害するのはご存知ですか?
この問題も非常に重要で、ストレスのドが過ぎるとヒステリックな大人になったり、キレやすい性格、ストレスに弱く、感情をコントロールできない脳となってしまうようで、近年色々な事例と共に学界等で発表され重要視されてます
なので私がお伝えしたいのは、幼児期の前頭葉海馬発育期に細心の注意を払う価値があるということです。
記憶力は社会を生き抜く力として非常に重要です。
また感情をコントロールできないというのは、ワーキングメモリーでの作業スペースが足りなくなることだとも言えるでしょう。
あわせて、気が短くすぐ感情的になる人は近視眼的な考えにアタマが支配され、相手の気持ちや先々のことが見えなくなっているように私には見えます。
そして、前頭葉海馬に詰まった処理できない〝ストレス〟から逃げたくて仕方がないのかも知れません。
本質をわかっていてもできない、そうそれは、〝条件反射〟や〝生体反応〟なので、どこまでが親の責任かってのもありますが、しっかりした身体を作って行くためにも、前頭葉海馬を意識して鍛える必要は高いと考えてます。
■頭の回転を速める?
幼児期にストレスのない生活環境と考えたり問題を解いたりして脳を使うことが前頭葉を鍛える方法とも言えるでしょう。
また前回の記事でお伝えした、やる気などの〝非認知能力〟も前頭葉海馬の成長に紐付き、前頭葉海馬は4歳~7歳までで基礎成長が終わるので脳育は幼稚期が勝負の分けどころです。
しかし、8歳以上の子供や我々大人はもう脳が成長しないからアウトなのか?というとそれは間違えで、ワーキングメモリーはあくまでも作業スペースの広場なので効率よく頭を使うことができれば脳(ココロ)の余裕も出てくるものです。
この〝効率〟がよく言う〝ロジカルシンキング(論理的思考)〟と〝記憶術〟を指し、この2つがきるようになれば頭の回転は速くなり、脳(生体)の差も乗り越えられるでしょう。
また〝頭の良さ〟は〝頭の回転〟でもあり、〝知識量の差〟でもあります。
一旦難しくなってきたのででは、話をまとめます。
・記憶の過程は3段階あり、その2段目の【プロセス】は記憶力を強化するために着目すべき点である。
・頭の回転とは【プロセス】の運動効率。また頭の回転はロジカルシンキングと記憶術でスピードを速め、効率を高めることができる。
・ロジカルシンキングと記憶術を使えるようになれば、記憶力強化につながる。
■幼児のロジカルシンキング?
さて、ここまで持論も含め様々な情報を伝えてきましたが、具体的にどうすれば良いかの議論に入ります。
まずロジカルシンキングについて、そもそもロジカルシンキングってのがイマイチですよね?
こちらいつも通りWikipedia先生に確認したところ「一貫して筋の通っている考え方、あるいは説明の仕方」と言っています。
またこれに補足すると〝論理的思考〟とか〝MESE(漏れなく・かぶりなく)〟とか〝構造的思考〟などのキーワードを聞いたことがあると思います。
要するに〝相手に分かりやすく、相手がわかる言葉で、相手が考えやすくなるように伝える〟ってことですよね?
そう、ロジカルシンキングってのはコミュニケーションの基本であり、当たり前のことをやれば良いだけです。
これを幼児に教え込む方法をどのようにすれば良いかです。
これ正解は相手次第ですが、我が家(私)の場合、以下のようなことを心掛けて話をするようにしてます。
① 細部まで情報を共有する。
何かをやるときやお願いするとき、具体的な方法や起きる出来事などを細かく分かりやすく説明して、お互いの情報に漏れがないようにします。
情報とはコミュニケーションの基礎でお伝えしたとおり〝知識〟〝感情〟〝価値観〟です。
また注意点として、大人は〝当たり前〟や〝常識〟だと思っていることとか、前に伝えたこととかの〝前提条件〟を省略して会話する傾向があります。
なので全ての情報をやり取りして、考える範囲や使う情報の量を増やして意図的に頭の回転を促してます。
② 数字を使って手順や流れを意識させる。
例えば〝お願いする事〟や〝注意点〟〝達成後起こること〟〝達成後減ること〟〝こちらの想い〟などについて数と時系列を意識して伝えます。
「これから○○について3つ説明します!」
などという伝え方で、指を折ながら説明します。
また我が家では一時期〝お絵かきボード(砂鉄が入った画板に磁石のペンでお絵かきするやつ)〟でチェックリストを作ったり、お出迎えするときの予定表を作ったりと、言葉だけではなく絵や文字と数字を組み合わせる方法で伝え理解力を高める働きをしてます。
③ 復唱とクイズで確認
① 細かく分かりやすく伝え、② 目的と目標・注意点などを数と順序で伝えた後、しっかり理解しているかを確認してます。
一般的によくあるパターンだと・・・
ママ 「わかった?」
コドモ 「うん!」
でおしまい。
しかしわかってない時の方が多かったりする。
なので我が家の場合は?
パパ 「わかった?」
コドモ 「うん!」
パパ 「やること何個だっけ?」
とか
「3つ目って何だったっけ?」
とか
「○○って何番目だっけ?」
・・・というように伝えたことを数やキーワードを使って確認し、伝えたことを復唱させるクイズなどをして楽しく理解させることを心掛けてます。
このような方法で伝えると正確に記憶して実行できるようにもなるし、もし間違ったとしても範囲や内容を理解しているので〝なぜ間違えたか〟をお互いに理解し合えるようになります。
またこの①~③をNLPのテクニックでは〝プリフレーム〟と呼び、本題や本作業に入る前にしっかり情報や意図を共有し、信頼関係を築くための会話を指します。
コドモは小さく簡単なことでも、感情で動いているので大きな負担になったり、当たり前のことでも期待されたり勇気を持ちたいものです。
なので、お願いごとは〝作業〟や〝手続き〟だけではなく、プリフレームをうまく使って心もつなげるコミュニケーションが必要だということですね。
ロジカルシンキングで情報の交通整理をし、プリフレームで心架け橋を作ればかなり頭の回転が良くなり記憶力強化へのアプローチができるでしょう。
そして、さらに効果を高めたいなら記憶術を取り入れることをオススメします。
その前に、今更ながら一応宣言しておきますが、私は〝マインドマップ〟という脳科学に基づき記憶力や創造力・ロジカルシンキング力を高める学習手法を(ひっそりと)教える資格を持ってます。
マインドマップは同じ脳科学に基づき作られたNLP(心理学)の資格とリンクするので私的にはとても使い勝手が良いです。
なのでここからはマインドマップの考え方やマインドマップを書くときに必要な考え方を知育に活用、また記憶力強化につながるアイデアをマインドマップ理論からチョイスします。
■マインドマップは〝脳の第一言語〟を使う
まず本題に入る前に、マインドマップについて超ザックリお伝えします。
マインドマップを上の写真にあるような放物線的やツリー状に情報をまとめるノート術だと思っている方、それはとっても残念な間違いです。
ノートや紙はただのアウトプットであり、本質は〝脳の使い方〟にあります。
またその〝脳の使い方〟を意識して紙などにアウトプットすれば、その紙の存在一旦忘れて、数ヶ月後に再確認した際〝一気に〟効率よく記憶の呼び起こしができるという思考法がマインドマップです。
なので、マインドマップの考え方を身に付ければ覚えることと、覚えたことを呼び起こす脳の力=頭の回転=頭の使い方が良くなります。
マインドマップは頭の使い方強化理論です、勉強のため、生き抜くための学習手法です。
またマインドマップは脳が当たり前の活動としている〝イマジネーション(想像)〟と〝アソシエーション(組み合わせ・連想)〟という機能に沿った学習手法を使います。
この〝イマジネーション〟や〝アソシエーション〟、その他脳科学的に脳に一番適している手法群をマインドマップでは「脳の第一言語」と考え、〝脳にとってイチバン効率が良い方法〟があのノート術というワケでもあります。
まぁツリー状にノートをまとめればマインドマップとか脳科学とか考えなくても効率は上がりますがね。
■脳が覚えやすい形式
脳がNO!と言われなーィ方法・・・。
くだらないダジャレはさておき、マインドマップの良さがある程度ご理解できたところそれにはある程度法則があり、以下にある12のルールを意識して情報のやり取り=コミュニケーションをすると記憶力は高まります。
1. 感覚や感情、五感に結び付くもの
2. 動きのあるもの
3.既知の情報と関連があるもの
4.性的なもの
5.面白い・こっけいなもの
6.想像力をかき立てるもの
7.数字を使ったもの
8.記号を使ったもの
9.色彩の豊かなもの
10.順序・並び方があるもの
11.前向き(ポジティブ)なもの
12.目立つ・誇張されたもの
いかがでしょう? 納得しましたか?
ロジカルシンキングでお伝えした数字や順序も入ってますよね?
またこれらのことに結び付く情報には興味や好奇心を刺激する内容だと思います。
そして、突然ですがクイズです!
以下の○○群に入る言葉は何でしょう?
脳に○○○○○○○○方法・・・。
くだらないダジャレ思い出しましたか?
正解はこちらです。
脳がNO!と言わなーィ方法・・・。
いかがでしょう?
そうです、くだらないダジャレはマインドマップのルールを体感するための伏線でした。
・・・?
まだ違うと違和感を感じ取れた人は凄いです!
本当の正解はこちら
脳がNO!と言われなーィ方法・・・。
先の正解発表では一文字少なかったんです。
このように、意味的にも視覚的にも脳が無意識に直感で記憶をしたり記憶を呼び起こしやすい方法が12のルールということです。
なので、この12のルールをコドモに説明するときは以下のようなアレンジが良いんでしょうね。
1. 感覚や感情、五感に結び付くもの
➡どういう気持ちになるとか、どんな温度とか、音や重さを付け加えるの
2. 動きのあるもの
➡ボディランゲージなどを使い〝映像〟として伝える。
3.既知の情報と関連があるもの
➡〝前に見た○○と似てる〟とか〝○○と同じ〟というような比喩表現や昔話などの逸話など、〝例え〟を使って説明する。
4.性的なもの
➡可愛い女の子などの異性もありますが、同性で憧れる人や友達との優劣、自尊心など自分の性を意識することも範囲に入るかと思います。
5.面白い・こっけいなもの
➡楽しいことは覚えてますよね、なので逆に辛いことは忘れるから、全て楽しいことに変換しようと考えてます。
6.想像力をかき立てるもの
➡未来をより具体的にイメージさせる。どんな効果が表れるのかや、どんな素敵な未来になるのか、誰からどうほめられるかなど、様々な角度でイメージを膨らませる。
7.数字を使ったもの
➡ナンバリングすることと、〝3つにまとめて伝える〟ことをオススメします。 幼児期含め人は奇数で伝えられた方が〝割れない〟ので説得力が増し、5つだと多過ぎなので3がシンプルで覚えやすく、また納得感も高まります。
8.記号を使ったもの
➡記号は文字(意味)の抽象画なので、絵を書いて伝えることと同じです。。文字が読めないコドモには絵で伝えた方が早かったりする!?
9.色彩の豊かなもの
➡色で覚えるとか、色だけ覚えていることもあるように、色は記憶に重要です。
また赤を見ると興奮するとか、青を見ると落ち着くとか、視覚からの刺激で脳内ホルモンが自然と分泌して心理に影響をお及ぼすことも科学的に証明されてます。
また好きな色や習慣として根付いている色、例えば紫は日本だと神聖な色というように、色と情報を組み合わせることの効果も期待できます。
10.順序・並び方があるもの
➡こちらもロジカルシンキングでお伝えしましたが、数字や方向性(上下・左右・始め終わり・大小など)がある方が一連の流れを一つとして覚えるので効率が高まります。
11.前向き(ポジティブ)なもの
➡
12.目立つ・誇張されたもの
➡これは視覚的に文字の大きさや色などを使いインパクトを与えたり、声のトーンや身振り手振りで伝えるという方法があります。 あと、急に手を叩いたり話し言葉を歌に変えたりして内容を見立たせるようなおとも良いと思います。
とりあえず、記憶に役立つルールが12個あることのみ覚えてところから初めて見てはいかがでしょうか?
■忘れないための努力
これが最後のコンテンツ。
ここまで長々と記憶力強化へむけた〝覚えやすくする方法〟みてきましたが、その情報を忘れないためにどうすべきかについても触れておきます。
忘れない方法について、先ず〝エビングハウスの忘却曲線〟ついての説明が必要で、まずはこちらをご確認下さい。
これは情報を記憶した後、ヒトは時間の経過につれ記憶した情報がなくなっていくというもの。
この理論では覚えた情報に対して〝何もしないと〟1時間後には54%を忘却し、1日後には73%を忘却、1週間後には77%を忘却、1ヶ月後には79%を忘却してしまうという研究結果で、多くの専門家から支持されている理論でもあります。
そのため、ヒトは忘れないために〝復習〟をして【記憶の呼び起こし】をして、以下の図のように覚える率ゆ高めなければ行けません。
この図の赤線ように、情報を忘れた時点で復習すると一時的に100%まで復活します。
なので復習を何度も繰り返すことで情報の保持率(忘れない率)が高まり、情報がの絵の中に定着することができるようになるわけです。
先にお伝えしたアズイフフレームも伝えたことの確認と過去の経験の呼び起こしによる未来予想や脳内でのシミュレーションのような働きがあるとも言えるでしょう。
そして、私が記憶についてイチバン伝えたいことは〝情報は21%の最高品質で伝えれば忘れない〟という考え方です。
エビングハウスの忘却曲線をみるとわかるように、いくらたくさん詰め込んでも1ヶ月後には79%忘れてしまいます。
これはどう情報を切り取るか次第でもありますが、逆に21%は最初からずっと覚えているので〝何を忘れさせないようにしるか〟や〝何を覚えておけば〟【呼び起こせない情報】を〝芋づる式〟に引き出せるようになるかをと考え伝えることかを意識することです。
そのためには脳仕組みも、ロジカルシンキングも、記憶術も、忘却曲線も理解して記憶力を鍛えるというのが私が大切にしている価値であります。
■まとめとオススメ
今回は長いコンテンツでした。
しかし記憶力は一生涯鍛えられるもの。まだまだ深堀して色々とお伝えしたいのですがマニアックになりすぎるのでこの辺まで。
またマインドマップ理論を理解したい方はこの本がオススメ。
マインドマップの考案者トニーブザンが書き下ろした脳の有効活用法をまとめたの本。
本当に頭良くなりますよ!
大人もコドモも、記憶力は重要なので、このブログ記事をきっかけに親子で記憶力強化してみてはいかがでしょうか?