【協調原理】と【会話の格率】でコドモと向き合う
2016/07/27
コドモであっても大人であっても、コミュニケーションは相手の反応にあり、また基礎をしっかり踏まえるべきと以前ブログでもお伝えしました。そして今回は、話を伝える側の心得でもある【協調原理】と、それに必要な【会話の格率】についてお伝えします。
【協調原理】
参加している会話で受容されている目的や方向が、その段階で求めていることに従って、発話を行え。
まず、この理論は哲学者であり言語学者であるポール・グライスが提言したことの一つ。
内容はちょっと難しいですが、発言における文字通りの内容を超えた言外の内容を、グライスは「会話の含み(conversational implicature)」と呼び、相手が勘違いしたり誤った方向へ話が進まないよう、この含みを持った会話をさけるために以下4つの格率に従うべきだと言ってます。
【会話の格率】
1. 量(Quantity)― 求められているだけの情報を提供せよ。求められている以上の情報量を与えるな。2. 質(Quantity)―信じていないことを言うな。根拠のないことを言うな。
3. 関連性 (Relation)― 関係のないことを言うな。
4. 様態(Manner)― 不明確な表現を避けよ。曖昧なことを言うな。簡潔に言え。順序立てて言え。
四つの格率を守ることが、結果的に協調原理に従うこととなりますが、実際の会話ではしばしば格率が破られます。
しかし多くの場合、話者が協調原理に従っていないとは見なされず、こうしたズレが、会話の含みを生じて良からぬ方向へ進みます。
■私なりの会話のコツ
では、コドモとの会話で具体的に、どのようにすれば良いのか?
私の場合、以下のことをいつも念頭においてます。
ゆっくり、丁寧に、一つずつ、分かる言葉で、確認しながら伝える。
こちらも協調原理と同様当たり前のことですが忘れてしまいますよね。
しかし、コミュニケーション理論を思い出して下さい。
コドモは大人と比べ知識量が少なく、また価値観も狭い。
また空気を読むこともできないし、前に伝えたことや叱ったことなども忘れている。
そのため、丁寧に、一つずつ、分かる言葉で、確認しながら伝えることで知識や価値観の差を埋めること努力を大人側がやらなければならない。
また私の方法で何よりも〝ゆっくり〟を一番最初に持ってきている理由は、大人が考える余裕を持つことにも必要だと思っている点にもあります。
協調原理は話し手側の心得であり、コミュニケーション理論も大人が意識する心得。
冷静になって会話の方向性を定めながら伝えるには数コンマの時間があれば頭は回ります。
またこの数コンマの時間すらも作れない人は感情的になったり相手の立場や気持ちを考えられない対応をしてしまいます。
私はこれが〝心のブレーキ〟だと思っており、〝ゆっくり話す〟が数コンマの時間を作り〝機転を利かせる〟きっかけになります。
新年は先ず〝ゆっくり話す〟から初めてみてはいかがでしょうか?