レジリエンスを鍛える3つの観察法
STEM教育(Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の略)という「学力/テスト攻略法」的な教育が注目される中、一方ではモンテッソーリ教育やレッジョエミリア教育などの「非認知能力/人間性強化法」も必要性だと注目されてます。
この動きを教育法の歴史視点で紐解くと、両学習手法とも古くからあるし、今の日本における教育のトレンドはどうやらアメリカ政府が過去に打ち出した教育改革の手法を辿っているかのようにも思えます。
そんな中、最近メディアでもよく目にする「レジリエンス」と呼ばれる非認知能力があり、これは失敗や思わぬ方向に進み気持ちが落ち込んでいるときに気力や意欲を〝元に戻す〟能力のことです。
■レジリエンスを再認識
レジリエンスは生きていく上で非常に重要な能力であり、必ず失敗や挫折は大なり小なりあるので幼いうちに鍛えて置くべき能力だと言われております。
しかしそのレジリエンスはあくまでも〝元に戻す〟までの能力と考えた方が良く、別の言い方をするとマイナス状態をプラスマイナスゼロ状態戻すところまでの能力だと私は考えます。
またプラスマイナスゼロ状態から更に気力を伸ばしてプラスアルファの力を引き出す能力は「グリット(やり抜く力)」や「モチベーション(意欲)」となり、レジリエンス含めこれらの能力を組み合わせることで【折れない心】が身につくと言われております。
■恐いのは無気力
しかしレジリエンスは何かに取り組む際に発揮する能力であるため『そもそもやる気がない』という場合にはどうなるのか?
そう、心が折れている=無気力状態を抜け出す能力はレジリエンスではないと思います。
そして無気力は親やまわりのサポートがないと、見えないところで鍛えられてしまう能力であり、またレジリエンスを鍛えようとプレッシャーを与え過ぎても無気力は鍛えられしまいます。
これは要するに、親がコドモに働きかけの質により、意欲が高まればレジリエンスは鍛えられ、意欲が弱まれば無気力が鍛えられるという方程式が存在します。
そのため、親はただ働きかけるだけではなく、相手の反応や心情を注意深く洞察して、状況にあわせて力加減をコントロールする事が重要です。
■どうやって状況を確認するか?
では「注意深く洞察する」とはどういうことでしょうか?
方法として色々あると思いますが、単純に考えると以下2つです。
①レスポンスを得る
当たり前のことですが、何かをお願いするときや一緒に行動するときなど、しっかりと返事や気持ちを受け取っていますか?
慣れていること、忙しい時になど投げっぱなしになりがちですのでしっかりと受け止めて定点観察をしましょう。
②言葉の語尾音で気持ちを探る
これも当たり前のことですが非常に重要なことで、カウンセラーが相手の心情を洞察するときに心がけるスキルで、今一度ご確認。
言葉は心の気持ちを声に出して伝えるもので、気持ちが強ければ声が大きくなったり、勢いがあると言葉尻が上がってきます。
気持ちが弱まれば時は逆で、声は小さくなるし言葉尻は下がる。
このようなイントネーションなどを今まで以上に注意深く確認してみてください。
また気持ちはちょっとしたことでも変化するので、ちょっとした変化を見逃さないよう心に留めておいてみてください。
③目の動きを読み取る
こちらは以前ご紹介したVAKモデルの視線解析を使うというものです。
これは目の動きから相手の心を読み取る心理カウンセラーのスキルで、ヒトの生態反応であるため精度は高いです。
そのため、会話の中で目の動きを見ながら心を読み取ってみてください。
■まとめ
コドモのレジリエンスも無気力も親次第であり、親の働きかけで大きく左右します。
またコミュニケーションは一方的だと成り立たないのでしっかりと気持ちを伝え、また気持ちを受け取ることを心がける。
そして、うまく気持ちを読みとるために言葉のイントネーションや目の動きを読み取る。
そこまでするのか?と思うかもしれませんが、それこそ親のレジリエンスを鍛える方法ではないでしょうか。