国際バカロレアとTOK(知の理論)
2016/08/25
学力の世界基準があることはご存知でしょうか?
また幼児教育の幅を広げグローバルな取り組みを進める上で世界基準というものは視野に入れておきたいですね。
今回は世界的な動きとして注目すべき「国際バカロレア」とその中核にある「知の理論」についてザックリご紹介します。
■国際バカロレアとは?
国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラム。
また修学することで得られる大学入学資格(国際バカロレア資格)の総称。
詳しくはWikipedia等でご確認いただきたいのですが、日本人が国際バカロレアを利用する目的の多くは海外の大学へ進学することで、有名校ですとケンブリッジ大学やオックスフォード大学などが独自の基準を設定し、国際バカロレア取得者に入学の門戸を開いています。
日本でも東京大学が入学者選考法に国際バカロレア資格取得者への門戸を開いてます。
●東京大学のページ
http://www.u-tokyo.ac.jp/stu03/e01_02_04_02j.html
■文部省科学省も動いた。
国際基準バカロレアの動きは国内でも海外留学等の動きで注目をあびるようになり、ついに文部省科学省も普及・拡大を推進するようになりました。
●国際基準バカロレアについて|文部省科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/
また文部省科学省は「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」(平成25年6月閣議決定)に基づき、国内における国際バカロレア認定校等(ディプロマプログラム)を2018年までに200校に大幅に増加させることを目標としているらしく、この流れを受けて昨年頃から教育関連企業が国際バカロレアに注力を注ぐようになってます。
■国際バカロレアを知る。
何だかよくわからないが、今後は確実に国際バカロレアが教育を牽引していくような気がしてきます。
そのため私もネットや本を買って色々と知識を集めているのですが、やはり国際バカロレアの理念や使命をみるとその理由がわり、彼らは「国際的な視野」を起点に以下の人物像を持つ人材の育成を掲げてます。
・探求する人
・知識のある人
・考える人
・コミュニケーションができる人
・信念をもつ人
・心を開く人
・思いやりのある人
・挑戦する人
・バランスのとれた人
・振り返りができる人※国際バカロレアの理念より引用
http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/1353422.htm
これらを注意深く読みとると学力だけではなく非認知能力と呼ばれる領域を重視していることが良くわかる。
そして、このような人材を育成するためのプログラムが3つ用意されている。
1.プライマリー・イヤーズ・プログラム(PYP)
3歳~12歳までを対象、精神と身体の両方を発達させることを重視しているプログラム。2.ミドル・イヤーズ・プログラム(MYP)
11歳~16歳までを対象、青少年に、これまでの学習と社会のつながりを学ばせるプログラム
3.ディプロマ・プログラム(DP)
16歳~19歳までを対象、所定のカリキュラムを2年間履修し、最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)が取得可能なプログラム
※国際バカロレアのプログラムより引用
http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/1308000.htm
3歳から国際バカロレアの理念を学び続けられれば私が理想とする子育てのゴール「社会で生き抜く力を身に付ける」に近づけると思いました。
■大学入学資格(国際バカロレア資格)が取得に必要な要件
まぁ色々ありますが最も注目すべきはディプロマプログラムは以下3つ要件を満たす必要があるようです。
【ア】Extended Essay EE(:課題論文)
生徒が学んでいる科目に関連した研究課題を決めて、自分で調査・研究を行い、4,000ワード以内で学術論文にまとめます。【イ】Theory of Knowledge TOK(知の理論)
学際的な観点から個々の学問分野の知識体系を吟味して、理性的な考え方と客観的精神を養います。さらに、言語・文化・伝統の多様性を認識し国際理解を深めて、偏見や偏狭な考え方を正し、論理的思考力を育成します【ウ】Creativity / Action / Service CAS( :創造性・活動・奉仕)
教室を出て広い社会で経験を積み、いろいろな人と共同作業することにより、協調性、思いやり、実践の大切さを学びます。2年間にわたり、創造性、活動、奉仕のそれぞれについて50時間ずつ(合計150時間)実施することが必要です。※文部科学省のホームページから引用
またこれらの授業、試験ともに英語、フランス語、スペイン語のいずれかで行われるのが基本のようで、国際バカロレア資格を目指すなら先ず英語の習得を進めないとダメですね。
まぁ我が家の場合、理子さんは10年後高校生なので、それまでの間で国際バカロレアの普及を注意深く見続け、必要に応じてギアを入れようと思ってます。
■一番重要なのは【イ】Theory of Knowledge TOK(知の理論)
国際バカロレア全てのプログラムにおいて一番重要なのは【イ】Theory of Knowledge TOK(知の理論)だとされており、以下がTOKに関する説明です。
TOKは学際的な観点から個々の学問分野の知識体系を吟味して、理性的な考え方と客観的精神を養うものです。
さらに、言語・文化・伝統の多様性を認識し国際理解を深めて、偏見や偏狭な考え方を正し、論理的思考力を育成します。
私たちを取り巻く世界は、近年、情報化やグローバル化の進展など、変化の激しい世界となっており、このような変化が周囲へ与えるインパクトやその範囲は、地域によって様々な違いはあるものの、知識の形成に深い影響を与えるものであると言えるでしょう。
近年、知識の急激な増大が起こっていますが、それは単なる知識量の増大ではなく、知識の専門化・細分化が進んでいます。
同時に、量子力学やカオス理論といった20世紀の発見によって、認知や予測が不可能な物事が存在するという事実も明らかになってきました。ディプロマプログラムの中核となっているTOKの学習では、生徒たちが、様々な場面に直面した際に状況理解の指針となる考え方として、物事を多様な観点から考察する力(クリティカル・シンキング)を重視しています。
TOKの授業を受けているとき、生徒は、次のような視点を重視します。
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知識とはどのようなものか
知識を増やす方法とは
知識の限界とは
知識は誰のものなのか
知識の価値とは
知識を“持つ”又は“持たない”とはどのような意味なのか
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TOKの学習の中心には、常に「学習者」としての生徒が存在します。
長期間の学校内外での生活を経て、生徒は膨大な量の知識を獲得し、考え方を学び、意見を持つ経験を積み重ねてきています。
TOKでは、新しいことを学ぶという側面から少し離れて、既に持っている知識に関するKnowledge Issueについて深く考える学習を進めていきます。
Knowledge Issueとは、生徒の視点から生じる疑問を含むものであり、以下のような基本的な疑問からはじまります。
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知るためには何が必要かそれは正しいことなのだろうか
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このような疑問は、非常に抽象的であり、また哲学的な要素を含む難解なものではありますが、TOKを担当する教員は、生徒の興味を引き出し、核となる部分に近づいていけるような授業計画を立て、学習環境を整え、指導を進めていくことが必要です。
ん~ん、難しい!
しかしTOKでは〝知る〟という自然的な行為や欲求に対してしっかりと理論を学び、善悪や真偽、重要性や優先度を自分の意識で決められるようになる学習のようです。
また以下8つの〝知るための方法〟とそれぞれの関係性を理解して学ぶようです。
・言語
・知覚
・感情
・推論
・想像
・信仰
・直感
・記憶
私はTOKについて色々調べましたが、ザックリいうとロジカルシンキング(論理的思考)やクリティカルシンキング(批判的思考)を身に付けるためのものだと思いました。
TOKも上記8つの中で「推論」を第一優勢しろと言ってますしね。
■詳しくは
今回、ほぼ文部科学省のコピペネタとなってしまいましたが、国際バカロレアについて、またTOKについて今のうちから深く理解したいのであれば以下の書籍が役立つでしょう。
●セオリー オブ ナレッジ 世界が認めた知の理論 Theory of Knowledge 日本語抜粋翻訳版
http://nellies-bs.com/item/9784907421359.html
私はこれを読みました。
TOKの必要性やTOKのプログラムの紹介、また今後日本におけるTOKについて日本人のTOK教師が分かり易く説明しています。
またこの本以外にも最近国際バカロレアに関する書籍が多数出ているので、目的に合わせて選んでみては如何でしょうか?