コドモとココロ:子育てを科学して楽しむ!育児・知育・学力アップの論理的なアイデア

認知心理学・色彩心理学・行動経済学などを活用して、論理的に子育て・育児やしつけ、学力アップ、非認知能力、ソフトスキルを磨き、自己肯定感を持って社会で生き抜く力を育む。コドココ理論育児 知育アイデア 国旗 学び方を学ぶ

本&ドリル、知育玩具レビュー

科学が教える、子育て成功への道

 久しぶりに子育て本の良書に出会えました。

また過去に「成功する子 失敗する子」や「マショマロテスト」の結果や「非認知能力」を重要視している方には特におすすめの本です!

そのため今回はこの書籍【科学者が教える、成功への道】について、「何でおすすめ?」という理由を3つお伝えし、ぜひ秋の読書の一冊として役立てていただければと思います。


■ 理由1 :なぜ〝学力だけの点取り虫〟ではダメなのかがわかる。

先ずこの本は最初にアメリカにおける教育事情の歴史について語られております。

その中で驚いたのが、アメリカの教育がテスト中心の得点主義になったきっかけが1957年にあったソ連の人口衛星スプートニク号の打ち上げであったこと。

俗にいう「宇宙開発競争」がアメリカの教育を変え、STEM教育の促進や早期教育ブーム、また多くの知育玩具や教育関連産業を発展させたそうです。

※STEMとは、「Science」(科学)、「Technology」(技術)、「Engineering 」(工学)、「Mathematics」(数学)の頭文字を取った造語。

その後「アメリカ教育法」という国家戦略により教育環境が強化され、さらに「落ちこぼれ防止法」ができたことにより〝ダメなコドモを作らないため〟の教育がアメリカで(日本も)スタンダードになった早期教育や点取り偏差値主義、そして主体性の無い教育界暗黒歴史を作り出したようです。

そのため親も落ちこぼれにならないよう点取り虫を目指し、そして企業も親が求める知育玩具を求めるようになる・・・。

しかしこのような歴史からある意味人体実験的な効果検証を繰り返し、今のエヒデンスベースの教育科学を生み出しわけだし、またモンテッソーリやレッジョエミリアのようなアメリカ以外の教育法の良さにも気付けたと思います。

そしてこれらの歴史を経て今回紹介する本が生まれ、またこの中で提唱する6つの【6Cs】という新たな教育概念が生まれました。

Collaboration(コラボレーション=協同作業)

Communication(コミュニケーション=協調性)

Content(コンテンツ=内容/質)

Critical thinking(クリティカルシンキング=疑いを持ち真実を求める)

Creative innovation(クリエイティブイノベーション=創造と変革)

Confidence(コンフィデンス=失敗覚悟で挑戦する自信)

またこの6つには4段階の成長レベルがあり、このレベルを自分のコドモと比較して今どの段階なのか、そして今後どうすればレベルアップするかの方法論を教えてくれます。

具体的なことまで解ること、そしてその理由が〝点取り虫〟ではダメな理由に紐付いているので凄く納得します。


■ 理由2:重要なことをママが読んでも分かりやすく伝えている。

学習科学やエビデンスベース教育の理論や手法は理解が難しかったり専門用語が並んでいたりと、正直読むのが疲れます。

しかしこの本では直感的に理解できる言葉や表現を使い、またダメな親を例に出して我が身を考えさせられたり、6Cs各理論のセクション最後には理論を理解した上で何をすれば良いかを優しく教えてくれます。

例えば一般的な勉強で得られる知識(認知能力)を「ハードスキル」、勉強以外に必要な知識や智恵(非認知能力)を「ソフトスキル」と区分けし、このソフトスキルが上記6Csという体系になっていることなど、話の組み立て方も分かりやすいですね。

またAIやビックデータ時代の〝21世紀型スキル〟や〝成功〟の定義、国連の事務総長による教育についての国際指針(グローバルイチシアティブ)の意味や必要性を理解できることばで教えてくれます。

さらに著者達がまとめた「良く学ぶための五ヶ条」はコドモに限らず学び続ける全ての人が必要とする信念ではないかと私は思っております。

21世紀型スキルとは、世界の教育関係者らが立ち上げた国際団体「ATC21s」(The Assessment and Teaching of 21st-Century Skills=21世紀型スキル効果測定プロジェクト)が提唱する概念で、これからのグローバル社会を生き抜くために求められる一般的な能力を指します。

そのほか比喩や事例を多く使っていることや、図やまとめページが有ったりと、6Csを誰でもしっかり理解するために必要なことを分かりやすく説明してくれてますね。


■ 理由3:エヒデンス(科学的証拠)が豊富。

この本では数多くの専門家や有名人のコメントが出てきます。

例えばノーベル経済学賞で「非認知能力」ジェームス・ヘックマンや8種の知性が重要だとして新しい教育概念を打ち出した「MI理論」のハワード・ガードナー、また哲学者で教育に関する名言も多いジドゥ クリシュナムルティ、協調の原理でコミュニケーションの質を説くボール・グライス、そしてビジネスマンなら誰でも知っているマネジメントの父ことピーター・ドラッカーなど、ただ【べき論】で理論を押しつけるのではなく、過去の科学的検証結果や事例や著名人の言動を使うことで共感と納得感を得られます。

やはりエビデンスは重要。日本の本でよくある○○メソッドとか謎の成功法則では納得いかない人はスッキリしますよ。


■まとめ(成功への道へ)

この本は特に未就学児を持つ親や10歳前後のコドモを持つ親がどうコドモを伸ばすかを考えるのに役立ちます。

またタイトルにもある「成功への道」とは「どうである」より「どうする」が重要であるため、6Csの各章最後には「実際にやってみよう!」というページがあり、自分の見つめ直し方やコドモの見方、そしてさらに成長するための視座を得られます。

やはり子育てを成功させたいのは親の本心。ぜひ学びを深めてください。

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