色彩生理学から紐解く、色彩教育と絵のセンス
まず結論から言うと、「描画のセンス」と「配色のセンス」違います。
そしてどちらも技術を習得すれば必ず標準以上の絵心や配色センスが身につきます。
特に配色は技術の力と使える色の数により大きく変わり、尚且つ技術は差ほど難しくないため習得も容易です。
そのため今回は、簡単な配色技法を遊びながら学び、ちょっとコドモに指導できるレベルを目指せればと思います。
■曼荼羅ぬりえで遊ぶ
何事も遊びながら学ぶのが良い。
またぬりえで絵を描くセンスを使わず、配色のセンスと絵を仕上げるセンスだけで楽しむことができるのでとても良いです。
そして我が家ではロジカル思考も鍛えられる曼荼羅ぬりえが定番で、一緒にぬりえをしながら配色の指導をしています。
この2つ、上段は理子さんで下段は私。
この時の指導方法として、しっかり色を塗るということ、そして【隣接する色は違う色にする】、【配色で濃淡を付けると躍動感が出る】という〝配色の基本ロジック〟を伝えました。
またこれはセパレーションという名前で呼ばれている配色技法を意識した配色で、この技法を持ってすればメリハリが着きますのどある程度キレイな配色になりますよ。
■補色で強調させる
次は補色という色の特徴を利用した配色技法です。
この補色、コトバンクの解説によると「適当な割合で混合すれば無彩色 (白色,灰色,または黒色) に見える異なった2色の対」というもの。
以下が代表的な補色です。
この配色は目が色を捉える色覚で考えた場合、簡単な表現をするとチカチカするというものです。
少し詳しく話すと色同士の対比が強いので目の組織が活発になり脳への信号が多くなるということですね。
またなぜこの配色だと目の組織が活発になるかというと、例えば補色の赤をみると目の視神経(視細胞)が色の刺激によりバランスが崩れ、その刺激から守り平常化を保とうと視神経(視細胞)の中にある緑を捉える組織(緑錐体)が動き出すというもの。
補色残像という言葉はご存知でしょうか?
例えば赤色の四角をずっと見続けた後、すぐ白色をみるとなぜが緑っぽい四角が見えるという遊びをやったことありませんか?
またこのような補色を意識した面白い例があります。
例えば視力検査。
これは視力を計る際に色覚を安定させるためにワザと補色にしています。
違う例では手術着。
多くの手術着が緑色系なのは手術の際に血を多く見る医師の目を狂わせないためにワザと環境を整えているということ。
それと話を配色に戻して、黄色×青の「反対色」という配色技法もあります。
この技法をうまく使った絵画だとゴッホやフェルメールの絵が有名ですね。
この反対色を意識して理子さんが描いたのはこちら
この絵、最初はツルの青色が薄かったので全体的に弱いイメージとなり、アクセントをつけるためツルを濃く塗るアイデアを与えました。キレイに塗ってないという事もありますが青と力強い作品となりましたね。
そして私も負けじと様々な配色技法を駆使した曼荼羅ぬりえを作成。
紫をアクセントカラー(強くて目立つもの)とし、黄色系は濃淡をつけるため三色利用(レモン色・黄色・やまぶき色)。
またオレンジ色の線を使い赤いハートと黄色をなじませ、暖色系のコントラストを強めました。
こんな感じで、色彩理論に則り配色しただけで何だか凄く感じちゃいますよね。
配色技術から絵心を鍛える
以前から色彩教育のカテゴリーでも触れていますが、絵心も習字やスポーツと同じく数多く練習や訓練をすることで身に付きます。
しかし何より、たくさん色を使って遊ぶことが一番の近道であり、またキレイな絵画をみて真似やアレンジをして楽しむのも良いでしょう。
これは理子さんが葛飾北斎の富岳三十六景「神奈川沖波裏」を真似でしょう描いた作品。
このような絵を描くときに以前観たスーパー浮世絵のイメージも想起させました。
また色を使った遊びとして、私が曼荼羅ぬりえを描いているとき、となりで理子は謎の「いろやさん♪」を開いて楽しんでました。
お店なので値付けをしたのでしょうが割引しているところがユニーク。
また売られているモノは色鉛筆を塗り合わせて作ったオリジナルカラーだというもので、ネーミングセンスもバッチリ。
どうやら私の曼荼羅塗り絵に採用されたかったようで、必死に売り込んで来ましたが・・・。
■まとめ
今回のお話で配色が技術だとご理解頂けたかと思います。また文字も線も「白字に黒で色を塗る」と考えれば配色技法だし、文字の美しさも練習すれば高まるものなので、一種の絵です。
そしてその技術は簡単に学べるので、あとはやる気と必要性だけですね。
これからもたくさん絵を描いていこうとおもいます。