子育てをデザインする。【子育て科学】
2016/08/25
「デザイン」と言われると商品やインテリアなど目に映るモノについて考えてしまいますが、今回は《デザインの本質》に目を向け、様々な気付きを得て行こうと思ってます。
ちょっと想像してみてください。
洋服屋や道具、乗り物や表示が同じ色や形だった場合、どのようなことが起こるでしょうか?
このような場合、作り手側の感性(センス)やこだわりによる【個性】が反映されていないため、「つまらない」「面白みがない」といった負の【感情】生まれが、また「使いずらい」や「他と区別できない」といった【効率】が悪いなどの弊害が出てくると思います。
このような逆説的な考察を通じて以下のような《デザインの本質》が見えてきます。
《デザインの本質》
1.使う人の【個性】を表現するもの。
2.使う人の【感情】を動かすもの。
3.使う人の【効率】を高めるもの。
ちょっと難しくまとめてしまいましたが、デザインはあくまでも使う人のコミュニケーション力を高めるもので、また使い易さや時短、その美しさによって嬉しくなったり元気になったりするだと私は思ってます。
デザインは【個性】【感情】【効率】を考え、使う人の目的を達成させてあげるものであり、またデザインを作る人がデザイナーであれば、大なり小なり万人がデザイナーとなると考えられます。
また特に、自分が親でコドモを育てたり、仕事で上司の位置に居る人であれば〝良好なコミュニケーションの環境をデザインする〟必要があり、そのデザインでみんなの目的や希望を実現させる努力をしなければなりません。
では、子育てにおいて親は何をデザインしているかをちょっと考えてみました。
○子育てのデザイン
・インテリア/雑貨
・収納環境(片付け)
・衣服/メイク/アクセサリー
・食事
・体調/体力
・学力/身体能力
・道徳/躾
・人間関係のルール
・価値観
これら以外にも色々あると思いますが、私が訴えたいことは、親のデザインは誰のためにデザインするべきか?ということです。
そう、それはズバリ「子育てはコドモがすくすく育つ環境作り」です。
そのため、親はコドモのストレスを軽減させ、コドモがモノゴトに対して自由選択の権利を与え、自発的な行動につながるやる気(意欲)を育てることが子育ての大前提だと私は思ってます。
このことは過去の記事で【ストレスの危険性】や【自由選択環境作りの考え方(Nudge)】、【やる気の育て方(Boost)】など、子育てを科学してデザインすることの重要性を訴えてきたワケです。
デザインの本質と重要性の理解が深まり、過去の情報が紐付いたところで、もう一段階上の〝ヒューリスティクス〟という人の生理反応的な領域について触れていきます。
ちょっと難しいですが、まずヒューリスティクスは〝固定概念〟とか〝信念〟いった心の奥底にある【価値の基準】に影響を与えているものに関する心理学領 で、時には〝思い込み〟や〝勘違い〟を引き起こす条件反射や生理反応などもヒューリスティクスの一種だと言われてます。
幾つかヒューリスティクスが原因と考えられる〝思い込み例〟を出します。
① 見た目がキレイで美しい人は、心もキレイで美しい人である。しかし極度にキレイ好きな人は汚れに敏感であり、ココロが汚れる〝ストレス〟に過剰反応する。(ヒステリックな面がある)
② 自分に対して優しい人は、心も優しく、誰にでも優しい人である 。また、言葉が汚いひとは心も汚く、他人の悪口を言う人は自分の悪口も他人に言っている。
③ モノを大切にしている人は、人間関係も大切にしている。また健康管理をしっかりしている人は人間関係もしっかりしている。
なぜでしょう、3つとも何となく共感や合意ができる内容ではありませんか?
また論理的に考えると目で確認できるAとその人の性格Bがイコールであると説明していて、〝あるある的に〟信用できることだと思います。
しかしこれ、本当に信用できるコトでしょうか?
合理的に考えると、①の見た目は如何様にも変えられ、②の話し方も状況や立場で使い分けることができ、③はただ勝手に拡大解釈しているだけのようにも考えられます。
このように事情とは別に〝感覚的正しい〟と判断する反応がヒューリスティクスであり、〝確率的に高く、きっと間違えではなく、正解に近い〟答えを条件反射的に出すことです。
つまり【深く考えず】【時間をかけず】【直感に頼る】人間らしい思考でもあります。
■あなたのデザインが無意識レベルでコドモに影響を与えている。
ヒューリスティクスとデザインの本質、また子育てのデザインでお伝えした項目を見直した場合、あなたのコドモはどうデザインされているでしようか?
ちょっと幾つか子育てデザインをヒューリスティクス的に言い換えてみました。
《子育てのデザイン》
・インテリア/雑貨にガヤガヤしてれば、それを見続けている人の情緒が不安定になる。・収納環境が整っていなければ、感情の出し入れも整えられず、すぐ感情的になる。
・衣服/メイク/アクセサリーが派手であれば、感情や言葉使いも派手になり、シンプルさやスマートさがかける。
・食事の時間や栄養に偏りがあれば、気分や意欲が偏り、好き嫌いが激しくなる。
ヒューリスティクスついて詳しく知りたい方は「思い違いの法則」という本をオスス します。
またこのセクションで私が訴えたいことは、「何気ない生活デザインがコドモの人格を無意識のうちに作っている」ということであり、これをきっかけに〝コドモ中心のデザイン〟を見直してほしいということです。
これ非常に、非常に重要です。
〝デザインの再構築〟にあたり「私にはセンスがない・・・」と思った方も居るかと思います。
しかしご安心ください。
現在は科学の発達によりセンスに対する合理的なマニュアル(お作法やルール)がたくさん出てきています。
例えばコミュニケーションに関して、以前紹介した基礎理論の応用と環境分析手法がありますし、VAKモデルを使えば知覚(五感)に合わせたデザインが組み立てやすくなりますし、色彩に関しては生理反応(ホルモン分泌)や色彩心理の応用、形(フォルム)やレイアウトも視覚の法則を応用すればセンスを何倍にも高めることが出来るようになります。
このような知識を学ぶことで色々な問題発生を防ぐことができ、書籍として初心者にオススメは100の悩みに100のデザイン 自分を変える「解決法」 です。
こちらはデザイナーであり日本における色彩の第一人者、デジタルハリウッド大学院教授の南雲治嘉氏が生活の中で起こる様々な問題をデザインの力で解決する方法を教えてくれます。
また知らないで損をしていることは多々あると思いますので、まず様々な知識をインストールして視野を広げてみてはいかがでしょうか?
こちらの本もオススメです。